2021研究シーズ集_211012
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実用化に向けた課題・クリンカアッシュの連続施用(毎年)による影響調査・各種ほ場の土壌条件での実証調査・多品目作物での実証優位性優位性・pH値の補正と保水性、保肥性の改善が 一度の施用で可能となります。・収量増加につながる可能性があります。−087−キーワードキーワード石炭灰、多孔質、クリンカアッシュ、農耕地土壌改良、排水性、通気性、保水性、保肥性研究段階研究段階基礎基礎実証実用化準備実証実用化準備環境・エネルギー環境・エネルギーキャベツ栽培における火力発電所石炭灰の 適用性研究先端農業・バイオリサーチセンター山内 高弘 特任准教授研究者情報:https://researchmap.jp/yamahana概要概要農火力発電所から発生するクリンカアッシュ(多孔質の石炭灰粒子)による農地土壌の化学性、物理性、保水性の改善検討と作物栽培による効果検証を行い、①酸性土壌のpHの矯正、②砂地土耕壌等の保水性の改善、③保水性の改善に伴い、肥料の溶脱量を減少させ、施肥効率を改善させることに加えて、④土壌の物理性の維持(固相率の増加防止)の効果があることを確認しました。従来技術地・植物や堆肥を活用した土壌改良・pH値の補正を石灰等を用いた土壌改良土・土壌改良に時間がかかる特徴壌《試験方法》クリンカアッシュの土壌改良有効性を、原体を用いて市販培土(タキイ種まき培土)への配合割を合を変え、キャベツ・ブロッコリーにて検証しました。ここではキャベツの結果を示します。1.土壌の化学性、物理性、保水性への影響(1)配合割合と土壌の化学性改・栽培前の用土:酸性土壌のpH矯正に有効でした。・栽培前後の用土:無機態窒素、有効態リン酸、交換性良塩基共に対照区が最大、50%区が最小となりました。クリンカアッシュが保肥効果を高め、施肥効率を改善させるものと推測されます。し(2)配合割合と保水性・潅水2日、5日後共に、配合割合が10%~30%区で対照区の5~6倍の含水量となり、砂地等保水性の悪い土壌のま改善につながることが確認できました(図1)。(3)配合割合と土壌の物理性・栽培終了時において配合割合に反比例し固相の増加率すが低下する傾向を示し、土壌が硬くならない効果が認められました。2.生育への影響(1)配合割合による収穫時期の差は認められませんでした。(2)収穫時の生重は、原粉の20%区が重くなり、クリンカアッシュの施用が収量増加につながる可能性があることが分かりました(図2)。実用化イメージ、想定される用途・農耕地土壌改良材料 (排水性、通気性、保水性、保肥性の改善)・石炭灰のリサイクル事業 (地域内資源循環型産業構造の構築:碧南火力)企業等への提案クリンカアッシュは、保水性の改善効果やpH値を高める効果が大きく、栽培改善につながります。この技術にご興味をお持ちの企業の技術相談をお受けします。また共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。先端農業・バイオリサーチセンターhttp://www.recab.tut.ac.jp/

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