より良い奥行き知覚の 実現を目指しています 実用化に向けた課題・「絵画的奥行き手がかり」の定量化方法の検討・混合手法での切り替えタイミングの検討優位性・異なる手がかり「絵画的奥行き手がかり」を用いることにより、より多くのユーザーに対して奥行き知覚の提示が可能となります。図2 絵画的奥行き手がかり図形の例図1 枠効果キーワード奥行き知覚、両眼視差、絵画的奥行き手がかり、視覚疲労−078−研究段階基礎実証実用化準備情報・通信三次元知覚統合と視覚的疲労に関する研究情報・知能工学系松田 勇祐 特任助教研究者情報:https://researchmap.jp/Yusuke_Matsuda概要ヒトは眼を使うことにより「奥行き」を知覚することができます。この奥行きの手がかり(キュー)となるものは様々ありますが、このキュー同士の相互作用はまだ不明瞭です。本研究では、これらキュー同士の関係を明らかにすることを目的として、三次元視覚呈示デバイスで主に用いられている「両眼視差による手がかり」と、絵画的な情報である「絵画的奥行き手がかり」との関係を枠効果を用いて調べました。その結果、 枠を用いることにより「絵画的奥行き手がかり」の信頼性が増加することが明らかになりました。従来技術・「両眼視差」手がかりを用いた3D視覚提示手法(3Dディスプレイ等)特徴【研究成果】写真や図形といった観察対象の前方もしくは後方に、観察対象とは無関係な枠を提示することによって、知覚される奥行き感が増加します(枠効果、図1)。枠が画像の後方にある場合、全ての絵画的奥行き手がかり図形(図2)で奥行き感の増加が見られ、枠が画像の前方にある場合、図形の種類が、テクスチャ勾配と陰影でのみ奥行き感の増加が見られました。「両眼視差による手がかり」を用いなくとも、奥行き知覚を増強できる可能性があります。また、特定の図形に対しては、奥行き感だけではなく実際の奥行き知覚量も増加することが明らかになりました。以上の成果は、「両眼視差」情報から得られる奥行き情報を知覚することが難しい(既存の手法では奥行きを知覚することが難しい)ユーザーに対して、奥行き知覚を生じさせることができ、さらに、「両眼視差による手がかり」を用いることで起こる視覚的疲労を、「絵画的奥行き手がかり」を用いることで軽減できる可能性があります。実用化イメージ、想定される用途・絵画的奥行き手がかりを用いた、新しい3D提示手法の提案(3Dディスプレイ等に応用)・既存の3D視覚提示手法と新手法との混合手法の提案(3Dディスプレイ等に応用)企業等への提案この技術にご興味をお持ちの企業の技術相談をお受けします。また共同研究等のご検討の際にはご連絡ください。情報・知能工学系 視覚心理物理学研究室http://real.cs.tut.ac.jp/
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